少しの論理的思考で人生を豊かにする。

ドイツの研究者のブログ。ライフハック的なことだったり、仮想通貨に関してだったり、機械学習だったり。雑多なことを書き連ねます。

「学び方を大きく変える意識のまとめ」社会人、先生、学生、親が知っておくべきこと

今回の記事で紹介すること:

学習というツライ作業を楽にするテクニックが幾つもあるのに、一般知識としてあまりに浸透していない。また、学習効率を高める努力があまりに軽んじられている。学習に対する考え方・アプローチ自体を大きく変えるテクニックをまとめて紹介。

 

 

学習は基本的に苦しい作業

この記事は、Ulrich Boser著 Learn Better のまとめであり、更に僕の意見を上乗せしたものです。この本を読むことを強くオススメします。とはいえ、この記事でほぼ内容はカバーしています。

 

学習とは、分野体系の本質を理解・習得するプロセスです。

 

何かを習得する、というのは時に楽しいです。しかし、義務感(やらなきゃいけない作業感)、困難(時間をかけても理解できない)、失敗(努力したのに間違える)、忘却(せっかく覚えたのに忘れる)という人間が嫌がる局面が、しつこく何度も必ず繰り返されます。基本的にツライ作業です。なので、学習に苦手意識を持ってしまう人が多い。・・どうしたらええのん、という話です。

 

 

要領よく学習するためのテクニックは学問体系化されてきている

「知識を有すること」は遥か昔から、社会的に大きなステータスでした。それは、知識を得られるソースが非常に限られていたから。物事をたくさん知っている人は貴重だった。インターネットが普及し、無料で知識が得やすくなった現代では、「知識」は誰でも簡単にアクセス出来るようになり、「情報を取捨選択する能力」が重要視されるようになってきました。これは、もっと大きい流れで捉えると、「学び方に関する知識」が重要視される時代になったとも言えます。情報量が多すぎて、なんでもガムシャラに学べばよいって時代じゃない。効率的に勉強しないと。

 

現代社会における「学習」に関する本質的な問題は、学習というツライ作業を少しでも楽にする克服テクニックが幾つもあるのに、一般知識としてあまりに浸透していないことです。ここ20年くらいでどうやったら要領が良く勉強できるかというのが科学的な検証を経て体系化されてきているから、それらを上手く使いこなし、僕らは学習に対する考え方・アプローチ自体を学んでいかなくてはならないのです。

 

また、学習する際に、学習効率を高める努力の重要性があまりにおろそかにされている。僕としては、まず以下のような意識配分をすべきだと思います。

 悪い学習)学習自体への意識:学習効率を高める意識=95~100:0~5

 良い学習)学習自体への意識:学習効率を高める意識=80:20

 

実際のところ、一週間に半日くらいは、「どうやったら効率良く勉強できるか」ということをじっくり考えてみるのが良いと思います。慣れてきたら半日も要らなくなってくるはずです。

 

 

 

学習に必要な項目

この後、以下の各項目について説明します。

 ①学習とは何かを知っておく

 ②習得したいモチベを明らかにしておく

 ③学習している自分を管理する:目標・期限・戦略の設定

 ④細かい裏技的なテクニックを覚えて活用する

 

①学習とは何かを知っておく

学習とは、分野体系の本質を理解・習得するプロセスです。

大前提のルール:

時間をかけても理解できない、注意したのにミスる、覚えたのに忘れるという嫌なことが、何度も必ず繰り返されます。それらは成長のチャンスと捉え、仮に大きな困難や失敗があったとしても、それが起きた事実はまずしっかり受け入れる。そして、それをいかに克服するかを考えるまでが学習のルールです。

これは、学ぶ側だけでなく親と教育者も知っておかなきゃダメです。「同じ失敗をするな」「なんで繰り返すんだ!」と癇癪を起しても、人は同じ失敗をするんです。それを「前提として受け入れた上で、どうやったらよいのか」を考えるのが大事な訳です。何度も目標を立ててやってみて、上手く行かなくってもいいです。人間だもの。

 

②習得したいモチベを明らかにしておく

学習は苦しい。とすると、学習する大前提として「モチベーションが続かないと非常に苦しい」ということです。やりたいことを学習するのは吸収が早いですよね。動機を明確にしましょう。義務・作業としてやらなくてはならない学習 ってのもありますよね。それはそれでしょうがない。でも、大事なことは、「この学習は自分にとってどう大事なのか?なぜ大事なのか?どう関係して、どんな場面で生きてくるのか?」をしっかり考えることです。親や教育者は、未熟な若輩者に手を差し伸べ、やる動機を説明してあげられるようにしましょう。

 

③学習している自分を管理する:目標・期限・戦略の設定

なにかを学習する、ということは、「何かを学ぶプロジェクト」といってもよいかもしれません。となると、そのプロジェクトが上手く行っているか管理・把握する管理者が必要であることが分かります。一般的には「指導者(教育者・親)」がそれにあたるのですが、もっと大事な意識として:

「自分こそ」が、自分の学習プロジェクトの進み具合を管理するマネージャーである

 

この意識が抜けていることが本当に多いです。指導者がいるにせよ、結局は自分が自分を管理するべきなのです。もしくは指導者と共同で管理すべきなのです。そこを勘違いすると、「自分が上手く行かないのは指導者のせいだ」または「あの指導者なしには自分はやっていけない」なんて思ってしまう。特に未熟な子供だったりしたら、親や先生は積極的に関与してあげるべきですが、必ず「自分」が管理者なんだ、という意識を持たせる必要があります。

 

じゃあマネージャーさんとしての自分、何をすべきか?というと、

目標を立てる・期限を設ける・戦略を立てるの3つです。

 

ここで肝になってくるのが、PDCA戦略ではないでしょうか。

過去の記事:

 

masa-crypto.hatenablog.com

 

長期と短期に分けて目標と期限を設定して、どうやったら達成できるかを考え、実行します。更には、実行したことを評価し、うまくいかなかった場合にどうやったら次はもっと良くできそうかの改善案を出します。僕の場合は毎週月曜の午前中にその週の実行計画を立てると同時に、前の週の実行計画と実際に行ったことを比べています。非常に忘れやすいので、毎日何を実行したかのメモを手帳につけてます。で、上手く行っているときはべつに良いのですが、上手く行かなかったときをチャンスと捉えます。なぜ自分は計画通りに実行できなかった?などなど考えます(過去記事読んでね)。

 

④細かい裏技的なテクニックを覚えて活用する

大事なので何度も書きますが、学習は必ず困難・失敗・忘却を伴います。それを大前提として認めてあげて、学習マネージャーとしてどんな戦略を与えられるでしょう?以下はツールです。自分だったらどう上手く使えそうか、しょっちゅう考えてみてください。学びで詰まってしまった時は、ただ時間と労力をかけて頑張るのではなく、テクニックを使ってブレイクスルーを狙うのです。これらは、自分自身で意識して実行するのもそうですし、指導する側も意識すべきです(そして積極的に学生側にテクニックを教えてあげるべき)。

 

  • ミスこそが最大の学びの源泉だと知る:ミスは「素晴らしい学びのチャンスだ」と考えることが大事です。失敗をどう捉え、どう克服するかが大事です。

  • Active learningという姿勢:受動的に勉強する(例:ただ講義を聴く)、マーカーで線を引く、繰り返し読むということはあまり効果がないことが実証されています。「勉強したことは他人に説明する」という意識を持つことが大事。自分にたくさん問いかけることも抜群の効果がある。「これは何を意味する?」「この章を自分の言葉でまとめると?」「自分とどう関連している?」

  • 検索学習法を使う:Active learningと関連していますが、どんどん自分に質問して、脳に思い出させようとする。他の学習法を50%上回る定着率がある。
     
  • 分散学習:人は覚えたことの多くをすぐに忘れてしまいます。しかし、時間をおいて繰り返し勉強することで、脳に知識として長期間留められることが分かっています(忘却曲線というやつ)。なので、大事なことを学習する際には、次にいつ再学習するのかを、計画段階で考えておくとよいです。

  • 社会的責任感を利用する:周りに「自分はいついつまでに○○をする」と宣言してしまうことで、自然と責任感が生まれ、達成率があがります。とりあえずBig mouthでもよいので、言ってしまいましょう。有言実行。

  • アナロジーを探す:自分が既に良く知っている分野の知識や過去の事例から説明できないか、関連付けられないかを考えると、理解がはかどります。

  • 心情面を管理する:精神的に健全でないと、学びが深くならないことが分かっています。なので、成果が挙がらない時、心の問題がないか、気にしてみてください。→オススメ本:草薙龍瞬の「反応しない練習」

  • メタ認知を利用する:何か新しいことを学習しはじめる時、まずは自分がそれ関連についてどんなことを知っているか?を思考しておくと、その後の知識の吸収率が上がる。

  • 手を動かす:指で図をなぞるなど、手を動かすことは頭の中の情報処理の効率化に役立つ。

  • 仮定→推論で考える:もし○○だったらどうだろう?と考えると、半強制的に思考を制限でき、多角的なアイデアが出たり、自分のアイデアに欠点がないかを探せます。「もし時間に制限があれば自分は何をする?」「もしこの理論がなかったら何が説明できない?」など

  • 成果ではなく努力を誉める:多くの人が成果を評価する傾向ある割に、努力を誉めたほうが伸びるそう。

  • フィードバック:何かを実行したらそれに対する評価と改善が必要。自分自身で的確に評価をするのはたいてい難しい。思い込み・勘違い・知識の不足などがあるので。これにはやはり指導者やほかの人が必要になってくる。

 

 

・・・ととにかく長くなってしまいましたが、これは大きなまとめなので、何度も読み返すことで徐々に身につくであろう(逆に言えば一度で覚えきれない)内容になっていると思います。