少しの論理的思考で人生を豊かにする。

ドイツの研究者のブログ。ライフハック的なことだったり、仮想通貨に関してだったり、機械学習だったり。雑多なことを書き連ねます。

読書感想とまとめ:人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

伝説のブログ分裂勘違い君劇場のふろむだ氏の著書

【人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている】

非常に面白かったので感想とまとめ。やはりこの人の文は面白いです。以下、まとめたりはしますが、是非読んでみることをお勧めします。

 

 

要点まとめ

1.錯覚資産:人々が自分に対して持っている、自分に都合のいい思考の錯覚。例えば、容姿が優れていると、その人の他の能力も過大評価されやすい。フォロワー数が多いと、その人の考えもなんとなく説得力があるように思えてしまう。など。

2.実力は、よい環境(人間関係など)に恵まれることで効率よく伸びていくが、よい環境を手に入れられるかどうかは、実力よりも錯覚資産によるところが大きい。例えば、「あいつは前回のプロジェクトで成果を挙げたから、今回のこのプロジェクトも奴に任せよう」というのも、その成果が個人の実力でなく、運や周りに凄く助けられた結果であったとしても、評価時には錯覚させられる。

 3.錯覚資産を運用して複利で増やしていくことが大事。人生はある程度運で決まることを大前提に、たまたま錯覚資産を手に入れたなら、それをテコにして、さらに錯覚資産を膨らましてゆく。錯覚資産があると良い環境に進め、実力が伸び、結果として錯覚資産も増える。のループ。

4.人生は運で大きく決まるのを大前提とすると、一番良いのはとにかく色々な事に手を出しつつ自分が色々な人の目に触れられるようにしておき、チャンスが引っかかるのを待つ。多くの人は実力が伴っていないから・・と敬遠してしまうので、そこをあえて意識して積極的にやる。

 

 

感想

うーむ。素晴らしいの一言です。何より個人的に感銘を受けたのは、ほとんどの人の頭のなかに多かれ少なかれある経験則やもやっとしたルールを体系化し、概念として提唱していること。その概念を色々な例を使って説明して読み手を納得させる。それに加えて、「分かったけど、どう使えばいいのさ?」を具体的に説明してしまう。理論研究者の鏡です。内容がどうこう、という話ではないけど。

 

僕もそういう経験があります。海外に出て研究していると、日本の同年代の研究仲間や友人から勝手に過大評価されたり(別に僕が何をやっているかなんて知らなくても)、データサイエンス・統計をやっていると、勝手に頭がずば抜けていいだろう、と一目置かれたりします(これまたどんなことをやっているかも知らずに)。

 

面白いのは、この錯覚資産によって、「なんであいつは実力があるのに上の立場になれなくて、こいつは実力は大したことないのにするする昇進するんだろう」というありふれた謎に一つの答えを出すことができる、という点ですね。結局決め手は「なんとなくの直感」が最終決定権を持っていると思っています。勿論実力である程度足切りされてしまうけれど、やっぱり最後は人と人の、直感。で、いろんなことに抜擢されるには、やはりコネクション(人のネットワーク)の広さも大事だと痛感です。「錯覚資産」は個人が持つ情報で、その情報がどれだけ広くの人に伝わりやすいかが、ぐんとチャンスにひっかかる確率が上がる。

 

 

 

錯覚資産、たぶん誰しもがなんとなく頭の片隅にあることだとは思うのですが、それをいかに上手く運用できるか?というのは考えてみる価値がありそうですね。

最新:Iterative Random Forestが高次の交互作用を抽出できる期待のアルゴリズムか

機械学習は基本的に、入力と出力の間の関数が一切未知であるとした前提で、その謎の関数と同等の精度で結果を出せる関数をデータから見出すのが仕事です。なので基本的には統計と違って確率分布や線形性、どの変数間が交互作用を持つかなどは一切仮定しないです。

 

大前提、機械学習の哲学としては、「全ての情報は有益かもしれないという立場の元、最大限に予測精度を高める」ことを信条にしています。なので、予測精度がどれだけ高いか、というのが肝だったり。とはいえ、ブラックボックスを作るだけでは解釈までは難しい、せめてどの変数がどう出力に影響するのか?というのはある程度把握したいわけです。

 

で、よく言われるのが、機械学習は変数間の交互作用(Interaction)も勝手に見つけて考慮してくれるから強い、というやつです。特に、非線形で高次の交互作用(Nonlinear higher-order variable interaction)を上手くキャプチャーしてくれる、というやつ。たしかに、おそらく理論的にはそのような複雑な変数間の関係性を掴んでくれていたりするはず、ブラックボックスの中で。

 

しかしながら、「機械学習で高次の交互作用を捉えているというけど、じゃあどの変数がどういう風に関係しあっているの?」という質問に答えるすべがほとんどなかったりします。一応それっぽいアルゴリズムはいくつか提唱されているけど、大抵のものはいまいちな感じ。。そこでついに出てきた期待の(現時点おそらく最強)アルゴリズムが、BasuらによるiRFというやつです。

 

 Basu et al. (2018) Iterative random forests to discover predictive and stable high-order interactions. PNAS 

Iterative random forests to discover predictive and stable high-order interactions | PNAS

 

2017年にはすでにArxivに投稿されていて、強い興味を持っていたのですが、PNASに出てくるとは・・。

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これは、Random forestをベースにしていて、論文の事例では2次・3次・4次・5次・6次の交互作用を総当たりで評価して、どれが一番大事かを評価してみたりしています(上の図では3次までだけど、論文中には6次とか平気で出てきます)。面白いのは、例えば2次の交互作用(A*B)が重要でなくとも、3次(A*B*C)が大事だったりすること。こんなん、事前に式を立てるパラメトリックな統計では決して思いつけないですよね。このアルゴリズムを使うと、どの変数らを一緒に考えないといけないのか、というのが容易に抽出できるようになるかもしれません。

 

なお、Rで既にパッケージ化されているので、試してみたくもある。

 

労働時間の5%って多い?少ない? その5%が人生を変える。#3PDCAを自己成長につかう

限られた時間を有効に活用しましょう、となると、やはり計画を立てる能力、問題があれば適宜軌道修正する能力、が大事になってきますよね。

 

僕としては、PDCAを回させることで自己成長を促すことが有効だと思っています。

 

※PDCAというのは、ご存知かもしれませんが、会社などの持続的で効率的な成長を促すための思考ツールです。Plan⇒Do⇒Check⇒Act(⇒Plan...)。計画し、実行し、計画通りにいったかを評価し、軌道修正した計画をまた練る。

 

PDCAという概念は、もともと品質管理のために生まれたもので、今ではビジネスで生産性を高めるために使われています。それを、個人のパフォーマンス管理・向上に適用しちゃいましょう、というわけです。

 

僕がやっているのは、毎週月曜の朝30分ー1時間くらいかけて、その週の計画を立てます。特に、40時間しかないということを念頭に、どのタスクに時間をどれだけ割り当てたいか・優先順位をどうするかを踏まえて、リストアップします(Plan)。それをその週に達成目標として実行する(Do)。その次の週の月曜朝には、1週間の間に実行した計画がしっかり出来たか(Check)確認し、もし出来ていなければ、なぜ達成できなかったのか、どうしたら達成できたかの原因・対策を練ります(Act)。

 

これをすることで、そもそも計画時に自分の能力を過大評価しすぎていたのか(最初はこれが多い)、はたまた計画は実行可能だったけど、業務をしている間が問題だったのか、業務以外の時間の使い方の問題だったのか?などがわかるようになります。

 

例えば、休憩が多すぎる、とか、逆にある一日でがんばりすぎて、次の日にやる気が出なかったとか、平日夜遅くまで飲みすぎると次の日は全然だめだとか。僕の場合、平日遅くまで飲むとどうしようもなく次の日のパフォーマンスがどうしても落ちます。なので、飲みの予定が事前に分かっているときは、そのパフォーマンス低下を見越してタスク量を減らします。

 

また、僕は20以上のプロジェクトに関わっていたりしますが、優先順位付けをする際にどうしてもこういった手法がないと回しきれない、というのもあります。

 

PDCAの肝として、僕はActが一番大事だと考えています(定量的な計画、なども大事ですが)。計画して実行するのはほとんど誰でもやっていることでしょう。ただし、実行してプロジェクトがひと段落したところで、当初の計画通り進んだか、進まなかったら何故そうなったのかをしっかりチェックする人が非常に少ない。ここをしっかりやることで他の人との差別化が図れます

 

また、このPDCAを繰り返すことで、自分の力量を把握できるし、精確に計画する能力もついてきます。このようなPDCAを週単位でやってWordなどに保存しておき、3ヶ月ごとにまとめるなどするとさらに中期の流れなども把握しやすくなり、1年先までの進捗も読めるようになってきます

 

 

労働時間の5%って多い?少ない? その5%が人生を変える。#2継続的な改善習慣を

「判断できないからどうしようもない」という人の思考回路を、その疑問を「判断できない自分をどうやったら改善できるか?」という建設的な疑問にすりかえてあげると、その人の思考回路が大きく変わる 、と前回書きました。

 

一応ですが、これはあくまでやる気はあるけど空回りしちゃってる人を支えてあげるためのものです。やる気がなくて判断する気もない人はまた別の話。

 

どうやったら改善できるか?と考えさせるために、僕は具体的には、

週2時間(就労時間40時間に対する5%)を自己成長戦略を考える時間に割り当てるように指示します。

 

自己成長戦略を考える上でのいくつかのアプローチ:

 1.お勧めの自己啓発の本を読ませる

 一番簡単なものとしては、お勧めの自己啓発の本を読ませること。若手研究者であれば、例えば「Survival Skills For Scientists」といった本を読んだほうが良い。経験の浅い若手は、同じようなことで躓きやすい。例えば、挫折しないためにキャリアパスをどう考えるか、どの程度の頻度で、どのくらい先のことを考えるべきか、などは、こういった本で事前に把握しておくことで、躓く確率がぐっと減る。たとえ躓いたとしても、そこから立ち直るまでがぐっと楽になる。

 

で、ただ読ませるだけでは駄目だったりします。読んだ直後はやる気に満ち溢れるけど、徐々にまたいつもの自分に戻っていってしまうからです。なので、本を読ませて、何に感銘を受けたか、じゃあ自分ならどうしていきたいかを自分の言葉でまとめさせて、実行させる

 

 

 

2.異なる時間スケールでの計画・目標を立てさせる

 

「短期(1週間)・中期(1ヶ月)・長期(3ー6ヶ月)・超長期的(1-3年)なスパンで、生存戦略を考えさせる」ことも非常に有効です。特に、判断できないといっている人、やる気があるのに空回りしている人というのは、長期目標を見失っている場合が多い。日々のやらなくてはならないことに追われて、いつのまにか自分が何のために今それをやっているか、今やっていることは将来の自分の何に役に立つのか、といったことを見失っている場合が多いです。長期の目標を思い出す・設定させるには、やはり上に書いたような本を読ませることも必要になってきます。

また一方で、日々やらなくてはならないことに振り回されている、という人は、1週間レベルで目標を立て、それを達成できたらしっかり自分にご褒美を上げる、ということも意識させると良いです。

 

 

 

1も2も、そんなんありがちじゃねーか、と思う方もいると思います。その通りです。ありきたりのよく言われていることをやらせるのです。ただし、一番大事なのは、それを習慣的に、仕事の一部として毎週しっかり時間を割かせるということなのです。思いつきで時々やるのではなく、継続的にやることが大事なのです。図にすると以下のような感じでしょうか。エビングハウスの忘却曲線に似ていますね。

 

 

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自己啓発した直後はいいんです。やる気に満ち溢れていて、長期的なビジョンもクリアになった気分になる。ただ、それは2週間もするとかなりぼやけてきます。これを放置するのが一番まずい。定期的に自己啓発をすることで、ずれてきているピントを合わせなおさなくてはならない。繰り返し確認することで、維持しなければならない。

 

ただし、繰り返すだけでは慣れが生じてきてしまうので、そこも問題だったりします。そこには成功体験だったり、報酬を得ること、新しい刺激などが必要になってきます。これはまた別の機会に。

労働時間の5%って多い?少ない? その5%が人生を変える。#1問題提起

まさです。

 

最近、指導している学生と話していて思ったことをば。

その子はポーランド人の博士課程の学生なのですが、どうも最近、特に今年に入って進捗が芳しくない。そこで少し話を雑談がてら聞いてみることにしました。

 

どうも、その子の主張としては「日々がんばってみてはいるんだけど、上手く進んでいるか分からない。色々選択肢があるんだけど、どれを選ぶべきか全く検討がつかない」と。その結果、やる気の低下にもつながっているみたい。

 

・・これ、どう対応すべきでしょうか?

 

僕個人としては、やや厳しい意見を投げました。僕から見ると、その子は「自分の人生の最終決定権を自分が握っている責任から目を背け、誰かが導いてくれるのをなんとなく待っている」ように見えたからです。というのも、「選択肢があるのに自分に言い訳をして、自らリスクを背負って選択するということを避けている」と判断できたからです。居ませんか?周りにこんな人。

 

と言っても、そんなことを意見するだけでは全然建設的ではないです。僕は、人に教える立場上、必ず建設的な意見を差し伸べることは非常に重要だと思っています。

 

あくまでその甘えてきな姿勢はバシッと批判します(国際的な環境でははっきり自分の物事を言ったほうがよい、とはいえ、ただし公衆でのけなすことは絶対避けて、あくまで個人的に伝える)。その建設的な意見として、じゃあどうしたらええのん、というライフハックを授けます。それがこのタイトルにも来ている、「労働時間の5%って多い?少ない? その5%が人生を変える。」でした。

 

週40時間(残業除く)の労働のうち、5%を新しいことに割く、って大変なことだとお思いますか?時間に直すと、週2時間。一日、2-30分を積み重ねると、週の労働時間的に5%です。時と場合、環境にもよりますが、僕としてはこのくらいは何とか都合できる割合だと思います。で、肝心のその新しいこと、とはなにか?

 

工面できた時間において、自分の成長のための計画策定・戦略を練ることです。

 

話が長くなりそうなのでここで止めておきますが、「判断できないからどうしようもない」と考えている人に対して、その疑問を「判断できない自分をどうやったら改善できるか?」という建設的な疑問にすりかえてあげると、その人の思考回路が大きく変わるとおもうわけです。続く。

少しの論理的思考で人生は大きく変わる。それをこのブログで伝えたい。

まさです。

 

ドイツの大学で理論的な、またはデータサイエンス的なアプローチを使って、

日々環境問題の研究をしているアラサーです。

 

研究職というのはプロのスポーツ選手と似ている部分があり、

実力主義の競争社会で勝ち残り続けなければいけない、中々にシビアな仕事です。

時にはデータ解析コンサルタントとして他の大学での招待講義をしたり、

最大で20以上のプロジェクトに関わっていた時期もあります(もちろん、すべて均等に参加していたわけではないですが)。

目指すは、とある分野での世界最高峰の研究者です。

 

結果として、日々「どういう思考をしていたら生き残れる確率が上がるか」を考え、

無事に生き残っています。その一方で、多くの友人が人生をやや無計画気味に歩んで躓いているのを目の当たりにしてきました。そこで、出来れば一人でも多くの人の人生の足しになるようなことを共有したい、という意識が芽生えつつあります。特にドイツよりも日本の将来を憂いているので、日本語で書きたい。

 

そんなことを踏まえつつ、これから自分の雑記帳をかねて、時々ブログを書いていこうと思います。暇な方は読んでいってください。

 

せっかくブログという形にするので、僕が意識する読み手の対象を明記しておきます。

 

メインは

「論理的な考え方で暮らしをより良くしたい」

方向けの記事が多くなります。たぶん。

 

サブとして、

「日本や世界の学術問題関連」

「機械学習の最新情報」

「暗号通貨(仮想通貨)への投資」

などなど、趣味や興味の世界もちょこちょこ書くつもりです。